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「Appleと下請け企業トラブル」ニュースの考察



私もこのニュースには、本当に残念な気持ちでいっぱいです。
それで不買運動を呼びかける記事まででています。


しかし、どうも腑に落ちません。
 

良く考えてみて下さい。
今回はあくまでも企業同士の契約トラブルであって、iPhone本体は全く関係ありません。
iPhoneがユーザーに危害を加えたわけではないのです。
もちろん、納得いく人は少ないかもしれませんが、怒りにまかせて「iPhoneもう買わない」と言う前に、考えなければならないことがあると思います。

それは、企業というのは、人間の人格と同じで、一側面だけで構成されているわけではありません。

Apple社には、次のようなエピソードがあります。

以前、中国のiPhone工場のファクスコンの従業員が、iPhone製造のために過酷な労働スケジュールで働いていると聞いた時、従業員に対してAppleが直接、臨時のボーナスを支給しました。

しかも、ファクスコンの幹部に搾取されないように従業員の口座に直接振り込んだのです。
当時、3交代で働きずめでヘトヘトだった現場の従業員には感涙ものの出来事でした。
Appleは、製造を依頼するメーカーと契約する際に、その工場の従業員が、安全で快適な労働環境で働けるように、賃金引き上げ、労働時間の短縮、など労働環境にまで条件を出すそうです。
そのために不足するコストは、Appleが支給してでも守らせるのです。
アップルとフォクスコン、中国製造工場の労働環境改善を確約



そのほか、他社メーカーの発売していたiPhone用充電ケーブルが、不良製品で火災事故を起こして問題になっていた時、Appleはその他社製のアダプターを持ち込めばApple純正のアダプターと無料で交換するという施策をうちだしました。
他社製とはいえ、ユーザーを危険な目に合わせたくなかったのです。

そして、救済機関への寄付です。
Appleを知る人のあいだでは、有名なんですが、プロダクト(RED)という仕組みがあり、このプロダクト(RED)に該当する製品をユーザーが購入すると金額のなんと100%全額が、そのまま世界のエイズ患者を救済するグローバルファンドに寄付されています。
Appleは、この活動を積極的に行ない、強く推進しています。
僕もその精神に共感し、いくつかプロダクト(RED)対象商品を購入しました。

一部だけ紹介しましたが、
Appleは、このように一企業として公益性の高い行動を表し、尊敬に値すべきポジティブな面も持ち合わせているのです。

 

では反面、日本企業自身はどうでしょう?
本当に純粋な被害者なのでしょうか?

ヤマダ電機が、取り引き業者にリベートを請求し、店内の陳列を手伝わせ、下請けを奴隷のように扱ってきました。

居酒屋WATAMIが従業員を長時間労働で過労自殺させつづけています。

三菱重工は、戦争で使う戦車を作っています。システムはNECが担当。
リニアモーターカーも作れば戦車も作っているというわけです。

というように企業にはいろいろな顔があります。

それでも怒りにまかせて不買するなら、
将来、三菱が作ったリニアモーターカーには乗らないですか?
今後、ヤマダ電機で買った物は捨てますか?
永久に、WATAMIで飲み会はもうしませんか?

今まで日本メーカーが起こしてきた数多の不祥事には目を向けず、あざやかにイノベーションを起こした人気企業の不祥事には、大声でやり玉に挙げる。
このような態度に、知性・品性を感じることはできません。


今、Appleは世界的に注目を浴びる革新的なメーカーです。
他社と違って誰もやったこともないことに挑戦するメーカーです。間違いを犯すこともあるでしょう。しかし、本筋として生み出してきた成果まで否定されるべきではありません。

企業がルールを無視するのも危険ですが、たった1度でもミスを犯したら最後、組織や人物を再起不能なほど、叩いてやっつけてしまうというような集団意識や、攻撃的な風潮が社会に蔓延するのもまた、本当におそろしいことだと思います。

そして繰り返しになりますが、これは企業同士の契約トラブルです。
お互いに「言い分」がある話なのに、片方の話だけで全容を知ることなんてできません。
何より、ユーザーに迷惑が及んではいないということは忘れてはいけません。


それとも
成功もなければ失敗もないメーカーの、何の変哲もない製品を、使っている方がよかったんでしょうか?